ライブアライブのリメイクにおいて、タイトルロゴにある特徴的な変更が施されているのをお気付きでしょうか。そう、「LIVE A LIVE」の「A」部分の色が変わっていますよね!オリジナル版では真っ赤な色だったのが、薄いオレンジから赤へ上に向かってグラデーションが掛かっています。
さて、この色が変わった意味とは一体何なのでしょうか?
偏った主観を交えて考察してみようと思います。
サブタイトルの無いリメイク
まず初めに、リメイクにおけるゲームタイトルについて整理してみたいと思います。
実はここ最近、スクウェア・エニックスが発売したフル・リメイクのゲームには必ずと言って良いほど、サブタイトルが追加されたリネームタイトルとなっています。
参考に過去2~3年程前からのリメイク作品を以下に抜粋してみました。
オリジナル版 | FINAL FANTASY VII |
リメイク版 | FINAL FANTASY VII REMAKE |
オリジナル版 | 聖剣伝説3 |
リメイク版 | 聖剣伝説3 TRIALS of MANA |
オリジナル版 | アクトレイザー |
リメイク版 | アクトレイザー・ルネサンス |
オリジナル版 | フロントミッション |
リメイク版 | フロントミッション・ザ・ファースト:リメイク |
既にお気付きかもしれませんが、ライブアライブのリメイクにおいては、フルリメイクにも関わらずサブタイトルが用意されていません。昨今のリメイクにおいては、タイトルに変更の無い唯一の作品であることが分かりますね。
でも「LIVE A LIVE Remake」とか「LIVE A LIVE over Again」とか…いくらでも案はありそうなものですよね?
センス無ェ…
オリジナル版との区別化
リメイクにおけるゲームタイトルの変更は、「本作品はリメイク作品である」と消費者に向けてのアピールに有効です。魅力的なサブタイトルを追加することで、特別感や単純な移植作品ではないことを主張し、オリジナル版のファンを改めて引き込むことが販売戦略的に可能になります。
しかし、ライブアライブは「何らかの事情 or 何らかの意図」により、タイトルがオリジナル版と全く同じになっております。
ですが、そのままのタイトルではリメイク版か否かの判断がつきません。そのため、代替え措置として、タイトルロゴの色のデザイン変更によりビジュアル面でオリジナル版との差別化を図った…という推測は出来るのでは無いでしょうか?
ドラゴンクエストⅢ
もう少しだけ話題をそらします。
実は、このライブアライブと同じ処遇の作品がもう一作あります。それは今後発売予定の「ドラゴンクエストⅢ」のリメイク。この作品とライブアライブとの明確な共通点はサブタイトルが追加されていない事だけではありません。そうです、同じくHD-2Dでのリメイク作品なのです。
ここで一つ、興味深い記事があります。なんとスクウェア・エニックスの社内方針において「今後、過去作品のリメイクにHD-2Dを活かす」と、HD-2Dリメイクの今後の立ち位置を明確に示しているのです。
ここから更に想像を膨らませると、HD-2Dリメイクとは単純なリメイクという位置づけではなく、過去のタイトル名称を踏襲し、その作品を新しい世代に向けたスタンダードに落とし込む……その為に敢えてタイトルを変更せずに発売をするという、スクウェア・エニックスの戦略では無いかと邪推するのは如何でしょうか。
「色が変わった」意味
しかし仮に、HD-2Dリメイクにおいてはタイトルを変更しない、という方針が正しかったとしても、謎はまだ残ります。それは「何故、『A』の色を変えたのか?」という最初の問いです。
タイトルロゴを変えるのであれば、様々な方法があります。なんなら全面的に一新して新たなロゴに変更することも可能です。しかし、ライブアライブはフォルムは一切変更せず、敢えて、そして唯一、「A」の着色のみを変更しています。
もとより、ライブアライブという作品は、細部にまで何らかの意味を持たせたり(例えば、各シナリオのボスの名前がODIUMにまつわる…など)、言葉にネタを仕込んだり(例えば、キューブの技の頭文字を並べるとHUMANISMになる…など)、と様々な場面でユーザーに驚きを与えてくれました。
だからこそ、この確信犯的な変更は考察すべき価値があると思っています。
タイトルとテーマ
まず、タイトルロゴ自体を紐解いてみましょう。
ご存じの通り「LIVE A LIVE」という文字列そのものがライブアライブにおいては非常に象徴的な存在です。
例えば、BGMでは「LIVE・A・LIVE」を主題に、心が通い合うシーンでは「WARM・A・LIVE」、悲しみや辛さを表現するシーンでは「CRY・A・LIVE」、各シナリオの選択画面では「SELECT・A・LIVE」、エンディングでは「Live for Live」と、テーマ曲にアレンジを行ったうえで、さらに曲名の文字列を「LIVE・A・LIVE」の構成で踏襲し、感情の揺らぎやクリティカルポイントを一貫した主題で描いていることが分かります。
他にも、LIVE(生きる)の綴りを反転することでEVIL(悪)と表現し、ライブアライブのテーマを含意しているように、「LIVE A LIVE」という文字列とデザイン自体がライブアライブの主題を担っているといっても過言ではないでしょう。
はじまりの色
そんな「LIVE A LIVE」のロゴですが、着色についてはシンプルゆえに印象に残り辛いかもしれません。普段、プレイヤーにとって目にする機会はタイトル画面くらいでしょう。
しかし、ゲーム中において唯一、「LIVE A LIVE」のロゴと着色が主役となっているシーンがあります。そうです、それがオープニングです。
「LIVE」が一文字ずつ各シナリオの映像のカットが交互に入り、やがてプレイヤーを招くように「welcome to 」、続いて「LIVE A LIVE」が表示されて……そして、なんと「A」は白から赤へ着色されます。
オープニングを見たプレイヤーに対し、ライブアライブというゲームが開始されることを示唆するように、「A」はオープニングで始めて赤の着色を得るのです。
2つめの「はじまり」
オリジナル版の「A」の着色がライブアライブの開始を表現していたとするなら、今回のリメイク版におけるあのグラデーションの着色は何の開始を表現しているのでしょうか。
もう一度、オリジナル版が着色されていた場所を思い出してください。背景にはルクレチア王国を見下ろした、中世編および最終編の舞台となる景色が広がっています。
この景色はライブアライブにおいて着色が明示される重要なシチュエーションと言ってもいいでしょう。この景色、オープニング以外でどのシーンで登場したか覚えていますでしょうか?
そう、エンディングです。
そしてそのエンディングにおいて、あのグラデーションが映ったと思います。
朝焼けのシーンです。
曇った景色が続く最終編の景色から脱し、朝焼けをバックに主人公たちが駆け抜けていくシーン。ほんの少しだけ、リメイクのグラデーションを連想することが出来ると思いませんか?
これら憶測を重ねて考察するに、リメイク版の「A」の着色はオリジナル版のエンディングを示しているとは考えられないでしょうか。
そしてその意図は、やはりライブアライブの開始を表現しており、しかし今度は、オリジナル版のエンディングを終えたその先(=新たなライブアライブのはじまり)を暗示しているのではないか……。
先述した「LIVE A LIVE」の文字列自体がライブアライブのテーマを担っているという仮設が合っていれば、まさに「A」のグラデーション自体がリメイクをそのものを包括していると読み取れます。
まとめ
簡単にまとめさせてもらいます。
1.ライブアライブのリメイクにはサブタイトルが付いていないので、分かりやすくするために「A」の色を変えた。
2.ではなぜ「A」の色だけを変更したかと言うと、オリジナル版はオープニングで赤に着色されゲームの開始を意味していたので、今度のリメイク版はエンディングの朝焼けの着色でリメイクの開始を意味している。
・・・っていう夢を見たんだ。
駄文乱文にお付き合い頂きありがとうございました!
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