【特集】名曲「魔王オディオ」を語り尽くせば陽がまた昇る。

全般

ライブアライブBGM特集の第4弾です。
各編のボスを象徴する曲であり、「MEGALOMANIA」の前座として主人公たちの前に立ち塞がる圧倒的な恐怖感と、その相乗効果で生まれる盛り上がりは、ファンたちの間でも非常に高く評価されています。
今回はそんな「魔王オディオ」を様々な角度から取り上げてみたいと思います。

導入と布石

最初に、曲自体の立ち位置やその魅力を記したいと思います。

「魔王オディオ」には、”導入”と”布石”の2つの顔があり、その立ち振る舞いは、物語を盛り上げる演出に一役も二役も買っています。

既にピンと来ていらっしゃるかもしませんが、順を追って説明します。

MEGALOMANIAとの組み合わせ

まずは”導入”です。

ライブアライブの中で最も名曲として名高い「MEGALOMANIA」。高揚感を煽るメロディは、ボス戦を最高のシチュエーションにすべく非常に高い貢献をしています。

さて、「魔王オディオ」のBGMが姿を現すのは、この「MEGALOMANIA」が流れるボス戦の直前のシーンが大半で、まるで一連の導入部のように存在してます。

そして、この2つの曲の『繋ぎ』がまた見事です。
「魔王オディオ」のメロディに切って割り込むように、一瞬の静寂を経て「MEGALOMANIA」が挿入されるこの演出は、まるで主人公たちが困難や恐怖を振り切りボスに立ち向かう姿をそのまま現したかのようです。

当然ながら、この流れがファンの中でも高く評価されており、ライブアライブの人気の一つでもあります。
ゆえに「MEGALOMANIA」あっての「魔王オディオ」であり、良い意味で『繋ぎ』の側面が強い楽曲です。

以上から分かるように、「魔王オディオ」はボス戦を引き立てる”導入”としての役割を大いに発揮しています。

……中世編が登場するまでは。

単体曲としての存在感

「魔王オディオ」には、“導入”では無い別の側面を見せるシーンが一度だけ存在します。しかもその登場は強烈です。

そう、中世編のエンディングのBGMとして使用されていますね。

エンディング直前のオルステッドの独白が、今までの他のシナリオと異なる絶望の物語であった…と言う事実を明らかにし、プレイヤーを突き放した直後、「魔王オディオ」のBGMが流れます。

その瞬間、この曲名、中世編のサブタイトル、他シナリオのボス名の連続性が一致し、「魔王オディオ」が「MEGALOMANIA」の引き立て役だけではない、他のシナリオの中で裏の存在感を示すかのように”布石”を打ち続けていた楽曲であることが判明します。

初めてプレイした時を思い出してください、貴方はオルステッドのあの言葉を聴くまでは、何故この曲名が「魔王オディオ」と名付けられているか意味が分からなかったのではないでしょうか?
(あるいはサウンドモードで初めてその意味に気付いたのではないでしょうか?)

LIVE・A・LIVEと対をなす派生曲数

ライブアライブは、一つの楽曲(テーマ)の中に他の楽曲のフレーズを組み込む手法がいくつも採用されています。

代表的なものでいえば「LIVE・A・LIVE」ですね。「CRY・A・LIVE」「WARM・A・LIVE」等のアレンジ曲はもちろん、「絶望の都」にもフレーズの一部が採用されるなど、メインテーマを軸として派生は多様です。

余談ですが、「LIVE・A・LIVE」に関しても以下の記事で取り上げていますので、興味がございましたら是非。

話がやや逸れましたが、その楽曲(テーマ)の一つとして「魔王オディオ」も同じポジションにいます。

具体的に取り上げてみましょう。

MEGALOMANIA

これはすぐに分かりますね。メロディの1ループの最後に「魔王オディオ」のフレーズが2回目繰り返されて挿入されています。

戦闘前のイベントシーンで「魔王オディオ」が流れ、更に追い打ちをかけるようにボス戦BGMの後半にも登場する……2つの楽曲の連続性をより強調しているように思えます。

さらに「MEGALOMANIA」の中で流れるフレーズは、原曲と全く違う印象を受けます。

原曲は恐怖や絶望を煽るスローテンポなパイプオルガンですが、この曲のワンフレーズは「MEGALOMANIA」の速度に足並みを合わせていますね。

アップテンポで駆けながらフィナーレに向かって行き、それまでの単調なメロディの反復を一掃させ、高揚感と共に1ループを締め括っています。
そのメロディラインは、まるで“主人公”と”オディオ”がせめぎ合っている姿のようです。

ILLUSION…

今までの戦闘曲と毛色が異なり、静かに階段を上るようにゆっくりと熱量が加わって行くような構成です。
ボス戦にふさわしく、断続的に緊張感を高めプレイヤーにプレッシャーを与えていく、緩急のある楽曲ですね。

そして、張り詰めた雰囲気を一気に開放するかのように、終盤に「魔王オディオ」が顔を表し、1ループが締め括られます。

そう言えば、同じ「魔王オディオ」からの引用ですが、「MEGALOMANIA」とは異なる部分のフレーズが用いられていますね。

この楽曲で引用した部分のフレーズは、オディオの恐怖・脅威の側面を強調することに寄与しており、楽曲全体としても、終始オディオ側の主観と言ってもいいかもしれません。

また、実はこの終盤のフレーズは「魔王オディオ」と「届かぬ翼」が組み合わさっています。
以下の記事でも取り上げておりますので、ぜひ読んで頂ければと思います。

PUREODIO

まさに「魔王オディオ」の戦闘曲Verと言っていいでしょう。
曲名が示す通り、“オディオ”を中心としたアレンジした仕上がっています。

「MEGALOMANIA」を準じたようなアップテンポで、鐘の音やパイプオルガンの旋律が随所に散りばめられ、さらには原曲のフレーズも挿入されており、ラスボス戦として申し分ないBGMですね。

少しだけ話題がそれますが、私はこの曲が流れる直前ラスボス戦の演出が大好きです。

前奏でピュアオディオが中心へと降りていき、翼が広がると共にエフェクトとSEが流れ、カーソルアイコンが「ピュアオディオ」表示されると同時に最初のメロディラインが流れる…。

完璧ですね。

戦闘シーンとBGMとシステムが完全に一連の演出として合致しているのは見事の一言です。

もちろん意図的なもの

これらは、もちろん開発者の意図的なものです。
ライブアライブのBGMを作曲された下村陽子氏のインタビューにおいても明言されています。

QA 「MEGALOMANIA」が、本当に一日中聞いてても飽きないくらい好きです。あの激しいビートと底に流れるパイプオルガンみたいな繊細な音と。あの曲が生まれた経緯を覚えておいででしたら、お聞きしたいです。

下村 イケイケ、ノリノリのボス曲ですね。悪いボスと戦う感じじゃなくて、ガンガンにいけるぞ!って感じのバトル曲にしたい、ということで作りました。それが時田さんからのオーダーだったのか、自分で発案したのかはもう曖昧になっちゃったんですけどね。だいぶ前のことなので。

QA パイプオルガンの音は、「魔王オディオ」のメロディですよね?

 そうですね。それをちょっと混ぜて。ディレクターの時田さんからは、「オディオのテーマをいろんなところで使いたい」というオーダーがあったので、オディオのテーマが出てくるんです。パイプオルガンで。実際、パイプオルガンをあんなに早弾きしたら大変なことになりますけどね(笑)。

ゲーム音楽と歩んだ25年 ~下村陽子ロングインタビュー~

https://www.2083.jp/contents/201402yoko_shimomura/page_04.html

この「いろんなところで使う」と言う手法は、前述した「LIVE・A・LIVE」と同じ意図なのでしょう。
私にはこれが対立する二つのテーマ(主題)が、シナリオを巡って積み重なって行くことを意図したものでは無いかと考察します。

その終着点こそが、「魔王オディオ」と「LIVE・A・LIVE」正面からぶつかり合う最終編のクライマックスのシーン。ライブアライブの全ての象徴しているようです。

ももいろクローバーZの楽曲に使用された

ファンなら有名な話ですが、ガールズユニット ももいろクローバーZの楽曲の一つ「境界のペンデュラム」において「魔王オディオ」のフレーズが用いられています。

同ユニットの音楽プロデューサー 宮本純乃介氏が”敬愛するRPGゲーム”とコメントまでしているのはファンとしてはとても嬉しいですね。

何より、色々な業界にファンがいて、何らかの形でライブアライブがリスペクトされていくのはとても喜ばしい限り。

最後に

今回はライブアライブの全シナリオに横断的に使用される「魔王オディオ」にスポットを当ててみました。

オディオを象徴する曲であり、その名の通り“あらゆる場所”で流れていましたね。

管理人はまだリメイク版のプレイ途中の為、全てのオディオに出会っておりませんが、クリア後にまた新しい発見がありましたら追記しようと思います。

それではまた。

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